上部消化管腫瘍のゲノム・遺伝子解析とその臨床病理学的意義の解明

東京大学医学部附属病院にて上部消化管腫瘍で切除手術や生検などを受けられた方およびそのご家族の方へ

東京大学医学部附属病院病理部および東京大学大学院医学系研究科人体病理学教室では、当院を受診され上部消化管腫瘍(食道、胃、十二指腸にできた腫瘍)の病理組織検体を採取させて頂いた方を対象に、患者さんの病理診断を行っております。病理組織標本は患者さんの病変のある部分から直接採取されるものであるため、疾患に関するさまざまな情報を得ることができます。これらの検体や情報を元に研究を行うことは、上部消化管腫瘍の原因や治療法などに対する知見を深め、将来の医療に役立てる上でとても重要です。
上部消化管腫瘍の切除手術や生検などを受けられた患者さんの検体・標本およびデータを用いさせて頂いて、腫瘍の発生メカニズムの探索や新しい診断法・治療法の開発を目標として、遺伝子解析を中心とした研究を行っております。
この研究の一環として2023年1月より、これまでに取得された病理組織画像及び、遺伝子情報、診療録(カルテ)情報を合わせて機械学習の手法を用いて解析し、また、その他の腫瘍(上部消化管腫瘍以外の腫瘍)の方のデータと統合して解析することとなりました。
この研究の対象者に該当する可能性がある方で、あなたの試料・情報等がこの研究に使用されることを希望されない場合は2023年6月30日まで、もしくは生検や手術を受けられてから3ヶ月以内に末尾に記載の問い合わせ先までご連絡ください。

研究課題

上部消化管腫瘍のゲノム・遺伝子解析とその臨床病理学的意義の解明(審査番号G3521)

研究機関名及び本学の研究責任者氏名

この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。

  • 研究機関 東京大学大学院医学系研究科 人体病理学・病理診断学分野
  • 研究責任者 教授 牛久 哲男
  • 担当業務 研究計画立案、検体収集、匿名化、データ解析
共同研究機関 令和4年11月現在
  • 東京大学大学院医学系研究科 消化管外科学講座/東京大学医学部附属病院 胃食道外科 (教授・瀬戸泰之)
    東京大学大学院医学系研究科 消化器内科学/東京大学医学部附属病院 消化器内科 (教授・藤城光弘)
    千葉大学大学院医学研究院 分子腫瘍学講座 (教授・金田篤志)
    東京大学大学院医学系研究科 衛生学分野 (教授・石川俊平)
    東京大学大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 (教授・津本浩平)
    東京大学新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 (教授・鈴木穣)
    東京大学先端科学技術研究センター ゲノムサイエンス (教授・油谷浩幸)
    東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター(教授・井元清哉)
    東京大学医科学研究所 先端がん治療分野(教授・藤堂具紀)
    東京大学医科学研究所 人癌病因遺伝子分野(教授・村上善則)
    国立がん研究センター がんゲノミクス研究分野(分野長・柴田龍弘)
    国立がん研究センター エピゲノム解析分野(分野長・牛島俊和)
    国立がん研究センター ゲノム生物学研究分野 (分野長・河野隆志)
    国立がん研究センター 細胞情報学分野 (研究所長・間野博行)

業務委託先

ゲノム配列の解読作業の一部などについて受託解析会社へ委託する可能性もございますが、患者さんのお名前やご住所などの情報は匿名化した状態で委託します。
令和4年11月現在、委託を予定している受託解析会社には以下の会社がありますが、今後変更があった場合には、こちらのウェブサイトにて公示いたします。

• タカラバイオ株式会社 (DNA・RNAシーケンス解析業務)
• 株式会社マクロジェン・ジャパン (DNA・RNAシーケンス・メチル化解析業務)
• 株式会社 iLAC (DNA・RNAシーケンス解析業務)

この研究に利用する試料・情報は共同研究機関(及び委託機関)の範囲のみで利用されます。

研究期間

2013年6月13日〜2028年6月12日
本研究は長期にわたる研究を計画しています。記載の研究期間終了後も継続する場合は、研究期間延長の申請を行う予定です。

対象となる方

2003(平成15)年9月9日以降に東京大学医学部附属病院で上部消化管腫瘍(食道、胃、十二指腸にできた腫瘍)の切除手術や生検などを受けられた方です。(但しゲノム解析以外の病理学的研究(形態学的解析や組織染色など)の対象となる患者さんは、それ以前に上部消化管腫瘍の切除手術や生検などを受けられた方も含みます。)

研究の目的・意義

当院病理部および東京大学大学院医学系研究科人体病理学教室では、上部消化管腫瘍の切除手術や生検などを受けられた患者さんの検体・標本およびデータを用いさせて頂いて、腫瘍の発生メカニズムの探索や新しい診断法・治療法の開発を目標として研究を行っております。
この研究は上部消化管腫瘍の病気の程度や進み具合、上部消化管腫瘍になりやすいか、上部消化管腫瘍の治療薬は効きやすいか、副作用は起こらないかなどが、生まれながらの体質と関係するかどうかを、上部消化管腫瘍組織や血液・尿・体腔液(腹水、胸水など)などから取り出した遺伝子を調べることにより正確に診断できるようにしようとするものです。

研究の方法

上部消化管腫瘍の診断や治療のために生検や手術を受ける場合には、採取あるいは切り取った組織の一部を使用します。この場合は、採取あるいは切り取ったあとの組織を用いますから、研究にともなう身体の危険性は全くありません。血液の場合は、通常の方法で約5〜10ml採血します。採血にともなう身体の危険性はほとんどありません。尿の場合は、 排尿時に10mlの採尿を行います。体腔液(腹水、胸水など)の場合は、診断や治療を目的として体腔液の採取を行った時に、残った検体の一部を使用します。
これらの組織に含まれるDNA、RNA、たんぱく質という物質を取り出し、これらを調べます。「DNA」は、A、T、G、C という四つの印の連続した鎖です。印は、一つの細胞の中で約30億個あり、その印がいくつかつながって遺伝子をつかさどっています。一つの細胞の中には2万から3万個の遺伝子が散らばって存在しています。この中のどの部分が、あなたの上部消化管腫瘍の病気の程度や進み具合、上部消化管腫瘍になりやすいか、上部消化管腫瘍の治療薬は効きやすいか、副作用は起こらないかなどと関係があるかはまだはっきり分からない段階ですので、DNA・遺伝子のすべてについて調べる予定です。DNAから作り出されるRNA、たんぱく質についても同様です。これらのなかには上部消化管腫瘍だけで起こっている情報と、あなたの体質と関連する親から子に受け継がれていく情報が含まれます。
こうやって調べたあなたの情報は、他の上部消化管腫瘍の患者さんの情報と合わせて解析を行い、DNA・遺伝子のどの部分の情報が治療に役立てられそうかを調べます。
また、これまでの診療で診療録(カルテ)に記録されている既往歴、生活歴、血液検査や尿検査結果、画像検査、病理検査(診断所見、組織画像)などのデータも取得し、遺伝子の情報と照らし合わせて解析を行います。2023年1月からは、統合解析の手段として機械学習の手法を用いて、病理組織画像から治療効果や遺伝子情報を予測するモデルの構築にも着手します。この際に、上部消化管腫瘍のデータだけでなく、その他の腫瘍のデータも統合して解析することとなります。この場合にも、特に研究対象者の皆さんに新たにご負担いただくことはありません。
また、提供いただいた試料・情報は、共同研究機関である東京大学医科学研究所、千葉大学、国立がん研究センターと共有し、解析を行います。研究対象者の皆さんのお名前等が、他機関に伝わることはありません。
なお、研究計画書や研究の方法に関する資料を入手・閲覧して、研究内容を詳しくお知りになりたい場合は、末尾の連絡先にお問い合わせください。他の研究対象者の個人情報等の保護や研究の独創性確保に支障がない範囲でご提供させていただきます。

個人情報の保護

この研究に関わって取得される試料・情報等は、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱う必要があります。
取得した試料・情報等は、解析する前に氏名・住所・生年月日等の個人情報を削り、代わりに新しく研究用の符号をつけ、どなたのものか分からないようにします。あなたの試料やゲノムデータ・情報は、どなたのものか分からないように加工した上で、鍵のかかる冷凍庫、研究責任者のみ使用できるパスワードロックをかけたパソコンで厳重に保管します。ただし、必要な場合には、当研究室/診療科においてこの符号を元の氏名等に戻す操作を行い、結果をあなたにお知らせすることもできます。
また、皆様の組織などの病理検体あるいはそこから抽出されたDNA、RNA、タンパク 質が他の研究施設・受託解析会社で解析されることがありますが、お名前やご住所などの個人情報は匿名化させて頂いた状態で凍結試料の送付および解析を行います。
この研究のためにご自分(あるいはご家族)の試料や情報・ゲノムデータ等を使用してほしくない場合は主治医にお伝えいただくか、下記の問い合わせ先に2023年6月30日まで、もしくは生検あるいは手術を受けられてから3ヶ月以内ご連絡ください。研究に参加いただけない場合でも、将来にわたって不利益が生じることはありません。
ご連絡をいただかなかった場合、ご了承いただいたものとさせていただきます。

研究成果の公開

研究の成果は、あなたの氏名等の個人情報が明らかにならないようにした上で、学会発表や学術雑誌、国内及び海外のデータベース等で公表します。
令和4年11月現在では、以下のデータベースへの登録の可能性を予定しています。ICGC (International Cancer Genome Consortium) Data Portal

  • EBI EGA (European Bioinformatics Institute, European Genome-phenome Archive)
  • NCBI dbGaP (National Center for Biotechnology Information, Database of Genotypes and Phenotypes)
  • JGA (Japanese Genotype-phenotype Archive)
  • Human Cell Atlas Data Portal
  • 東京大学医科学研究所・国立がん研究センター 「解析・データセンター」

これらのデータベースは個人情報の取扱いに十分な配慮がなされていることが予め確認されています。「解析・データセンター」は、厚生労働省「全ゲノム解析等実行計画」に基づいて、AMED「革新的がん医療実用化研究事業」【領域 1-14】「がん全ゲノム解析等におけるゲノム解析・臨床応用に関する研究」の研究班によって令和 3 年度から設立されました。匿名化された臨床情報は国立がん研究センターが管理する臨床情報収集システムに、解析データは東京大学医科学研究所に、電子的に登録されます。データ解析は、国立がん研究センターのオンプレミス環境でも行われます。登録されたデータは厳格な審査に基づいて学術機関・民間企業に提供され、学術・創薬研究に利用されます。
なお、データの公開先について変更があった場合には、こちらのウェブサイトにて公示いたします。

試料や情報・データの保管

取得した試料や情報・データ等は厳重な管理のもと、研究終了時まで保存されます。さらに、同意をいただいた方のものについては、研究終了後も、新たに計画・実施される研究のために長期間保存されます。
研究への協力を撤回された場合には、学内の規定に従って試料は破棄し、データは完全消去し紙媒体の場合は裁断破棄しますが、一度研究の成果、遺伝子の情報を公開してしまいますと、その部分については取り消しが非常に難しくなることをご理解ください。
なお研究データを統計データとしてまとめたものについてはお問い合わせがあれば開示いたしますので下記までご連絡ください。
尚、提供いただいた試料・情報の管理の責任者は下記の通りです。
    試料・情報の管理責任者
    所属:東京大学大学院医学系研究科・人体病理学/病理診断学分野
    氏名:教授 牛久哲男

その他、研究に関すること

本研究の結果として特許権などの知的財産権等が生じる可能性がありますが、その権利は国、研究機関、民間企業を含む共同研究機関及び研究従事者等に属し、研究対象者はこの特許権等を持ちません。また、その知的財産権等に基づき経済的利益が生じる可能性がありますが、これについての権利も持ちません。
この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学大学院医学系研究科・医学部長の許可を受けて実施するものです。
この研究に関する費用は、主に文部科学省や日本医療研究開発機構などからの公的資金および研究機関の運営費から支出されています。
具体的には主に独立行政法人 科学技術振興機構「研究加速課題」、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 「次世代がん医療創生研究事業」「革新的先端研究開発支援事業」 「革新的がん医療実用化研究事業」「先端的バイオ創薬等基盤技術開発事業」、文部科学省 科学研究補助金 から支出されていますが、今後の研究の発展にともなって、この他に追加される可能性もあります。
本研究に関して、開示すべき利益相反関係はありません。
尚、あなたへの謝金はございません。
この研究について、わからないことや聞きたいこと、何か心配なことがありましたら、お気軽に下記の連絡先までお問い合わせください。

                                                                                                                                      2023年2月

連絡・問い合わせ先

研究責任者:牛久哲男
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学大学院医学系研究科・医学部 病因・病理学専攻 人体病理学・病理診断学
東京大学医学部附属病院 病理部
電話:03-5841-3341  FAX:03-3815-8379